5月3冊目の本、『イシューからはじめよ ― 知的生産の「シンプルな本質」』を読了したのでご紹介。
どんな本?
〈圧倒的に生産性の高い人〉に共通する問題設定&解決法
「イシュー」とは、「2つ以上の集団の間で決着のついていない問題」であり「根本に関わる、もしくは白黒がはっきりしていない問題」の両方の条件を満たすもの。 あなたが「問題だ」と思っていることは、そのほとんどが、「いま、この局面でケリをつけるべき問題=イシュー」ではない。 本当に価値のある仕事をしたいなら、本当に世の中に変化を興したいなら、この「イシュー」を見極めることが最初のステップになる。
目次
引用元:イシューからはじめよ ― 知的生産の「シンプルな本質」 | 安宅和人 | ビジネス教育 | Kindleストア | Amazon
- はじめに 優れた知的生産に共通すること
- 序章 この本の考え方―脱「犬の道」
- 第1章 イシュードリブン―「解く」前に「見極める」
- 第2章 仮説ドリブン(1)―イシューを分解し、ストーリーラインを組み立てる
- 第3章 仮説ドリブン(2)―ストーリーを絵コンテにする
- 第4章 アウトプットドリブン―実際の分析を進める
- 第5章 メッセージドリブン―「伝えるもの」をまとめる
- おわりに 「毎日の小さな成功」からはじめよう
従来の働き方は、「すでにある問題」あるいは「誰かが設定した課題」に対して、「より良く解く」ことが重視されてきました。
しかし、ニーズが複雑化・多様化する現在~将来においては、「そもそも何を問題として扱い、どれだけ筋の良い課題解決に当たるか」が重視されるように変化しています。
AIの発展により、その傾向にはより拍車がかかるでしょう。
「イシュー」を見極める力を身につけることは、「あったほうが良いスキル」ではなく「必然のスキル」であると言えます。
得られた気づき
- 生産性向上は効率アップの前にやるべきことがあり、それが「イシュー度」を見極めること。イシュー度が高くなければ、「解の質」が高くても「バリューのある仕事」とはならない
- 労働時間が長くても自己の満足度が引くく、他者からの評価も上がらない場合、バリューの無い仕事に時間を費やしていると考えるべき
- 最初に目を向けた課題が、「なんちゃってイシュー」である可能性を疑う
- 情報収集にばかり時間を費やすと、自分なりの視点を失った「知りすぎたバカ」になってしまいやすい
- 解けない問題は解く方法が現時点で無い場合もあるが、サブイシューにまで分解できていないためと考えて、扱える大きさまで砕いてみればよい
- 他者がつくった資料がいまいちピンと来ない場合、論理構造に欠陥があると考えて構造化してみれば、何が足りない・何が余計かが分かる
どんな行動につなげるか
- 課題設定するための仮説を立てる場合、(多少強引にでも)「スタンス」をとる
- 各論から解いていくのではなく、まずは最終形となる全体像を仮で良いので設計する
- 知識だけの狭い専門家にならないよう、3~4年スパンで担当する業務を大きく変える(転職または異動)
- 「ストーリーライン」と「絵コンテ」を描けることを、分析業務を担当する自分の強みのスキルとする
- 自分のつくる資料でも他者がつくった資料でも、「WHYの並び立て」「空・雨・傘」の論理構造に当てはめてみる
- グラフの選択は、どんなデータが取れるかから考えるのではなく、何を伝えたいのかその目的から選択し、そのために必要なデータを収集する順番で考える
- 分析のグラフ化にあたっては、伝えたい意味合いによって、比較/構成/変化のどれ、あるいはどの組み合わせが妥当なのかを判断する
- 仮説から始めたとしても、「答えありき」の論理構造やデータの見せ方になっていないか、セルフチェックと他者チェックの二重で検証する
具体的行動としては、
- 対象について、ロジックツリーで縦方向・横方向へ構造的に分解し、比較する意義の大きいところを探す
- 2つの軸をとることでグラフ化し、可視化する
- 体系化した業務はさっさと他者に譲り、自分はあたらしいことに移っていく
- 議論すること・したことは、日常的に文章の羅列ではなくチャートで表す
- 主張したいこと(スタンス)は、「WHYの並び立て」「空・雨・傘」を組み合わせる
- 比較/構成/変化のグラフは、そのパターンをストックしておく
- 軸を縦横に置く場合は、横軸を「原因側」で縦軸を「結果側」とする
- プレゼンにおいては、中身の正しさを主張するのではなく、イシュー設定の論理構造の妥当性を検証してもらうつもりで挑み、その事前チェックにおいてもそれを重視して磨きをかける
をやってみます。
こんな人に読んで欲しい
- 評価の低いルーチンワークの継続に不安・疑問を抱いている人
- 突発的な仕事を毎日のように指示されて不満を感じている人
- 企画や提案が通らずに悩んでいる人
- 上司の立場になる人
- 確実に成果を上げたい人、成果を上げ続ける仕組みを持ちたい人
世に「問題解決」の技法を説いた本が多数あって、それはそれで必要な技術ですが、解くべき問題を誤っていたらそれに正しい答えを出しても価値は生まれません。
いかに解くべき問題、筋の良い課題設定にたどり着くか。
もう3回ほど読み直していますが、これからも折に触れては何度も読み返す1冊となりました。