12月2冊目の本、『数学女子 智香が教える 仕事で数字を使うって、こういうことです。』を読了したのでご紹介。
どんな本
- ビジネス数学が専門で、BMコンサルティング代表/ビジネス数学・カレッジ学長の深沢真太郎さんが書いた本
- 予備校講師や外資系企業のマネジメント職を経験した後にコンサルタントとして独立し、企業研修や大学講座で約3,000名に指導した実績があるのだそう
- あるアパレルメーカーを舞台としたストーリー仕立てで本書は構成されており、数字を使った論理的な仕事の仕方を学べる1冊となっている
- 多くの企業の経営者や人材育成担当者が数字で物事を考えられない従業員の多さに頭を悩ませていること、なぜ「数字」が重要でどんな場面でどう使えばいいのか、多くのビジネスパーソンが知っているつもりで実は知らない、という問題があることから本書を執筆
- 6章から成り立っており、「数字を会話で使うこと」「数字から読み取ること」「意思決定で重視する理由」「知っているようで知らない本当の分析」「魅せるグラフの使い方」「数字を武器にする方法」を順に学べるようになっている
読むきっかけ
- 「数字で語ること」「論理的に判断すること」が重要だとは分かっているつもりでいつつ、その反面日常的に使えているとは言い難かった
- 表やグラフを、なんとなくで構成を決めてつくることが多かった
- データ集計に多くの時間を割かれており、後工程の分析は付け足しになることが度々あった
- この3つのことは「作業」であって、「仕事」をしていることにはならないと薄々感じていた
- ある時たまたま散布図をつくり、2つのデータの相関関係を示したところ、「こういう資料を待っていたよ」と上役に言われることを体験
- これを突破口にしたいと、類書を探して行き当たったのが本書となる
読んだ感想
- 「前年比」や「前月比」は、数字の大小を見比べるだけでは意味がない理由を理解した
- 数字を使って説明しようと思えば、自ずと具体的・構造的に物事を捉えられるようになる
- 「平均」が実体のない、ただの数字になる場合があることを知った
- 集計は分析の前段階の作業でしかなく、集計する数字を決める前に「相関関係」を仮説立てることを出発点に考えようと思った
- 苦労して集めたデータも、プレゼンや報告で全部見せるのではなく、「結論→根拠」で必要なものだけ順番に見せればよい
- 相関関係を可視化するグラフは、想像していたよりはるかに簡単につくれる
- 全般的なストーリーとしても実際ありそうな場面が多く、どんどんと読み進めることができた
読んで、自分でもやってみようと思ったこと
- 「前年比」や「前月比」を使う場合は、「前提」の違いをチェックする
- 数字を使う=論理的に考えようと思ったら、まずは表にできないか書いてみる
- 「平均」を使うなら「バラツキ」をチェックすることで、「ターゲット」を正しく捉える
- データを集める作業に入る前に、「強い相関関係」にありそうなものを仮説立ててみる
- 相関関係は、「平均」と「バラツキ」の差に着目することから始める
- 数字の意味を評価する目的によって、「実数」の比較と「割合」の比較を使い分ける
- 割合では、「分母」の意味することが何か確認する
こんな人に読んで欲しい
- 集計して表やグラフをつくることが仕事だと思っている人
- とにかくたくさんの数字を集めることを、次から次へと指示される状態から抜け出したい人
- 既存のやり方を踏襲するだけでは、結果を出すことに限界がある感じている人
- 仮説と分析にもとづく論理的な施策を立てたい人
- 「作業の上手な人」より「結果を出せる人」に変わりたい人
まとめ
「数学」とタイトルにありますが、難しい数式は必要としておらず、小学校で習う「四則演算」ができれば十分。
それよりも、数字を使うことでどんなメリットがあるのか、使っているつもりにならないためにはどこにポイントをおけばいいのかを優しく教えてくれます。
本書の主人公である「数学女子」に突っ込まれる「文系男子」の立場で読み進めれば、目の鱗がいくつも落ちてくるのを実感できるでしょう。
『数学女子 智香が教える 仕事で数字を使うって、こういうことです。』は、数字を使うことで「やらされ作業」から「主体的仕事」へと導いてくれる1冊です。